桜も日本各地で満開になり、日増しに暖かくなってきています。
春の陽気に誘われてスプリングコートを脱ぎ、艶やかな薄手のブラウス一枚で街を歩く人を見かけるようになる、そんな季節の変わり目を五感で感じる今日この頃です。
薄着をしたり白や薄い色の服を着るようになると、女性の方が気にされるのは『透け』の問題で、インナーが外に透けて見えてしまうのは嫌なものです。
そこで、今日はその
『透け防止』に効果のある繊維の話をしたいと思います。
先日、我社の若いスタッフに
『フルダルって知ってる?』と質問したところ、
「古い樽」 のことですか!
それとも
「フル(完全)にだるい」 ということですか!
と言われてしまいました。
オヤジギャグとしてのつかみはOK!なのですが、ユニフォームのプロとしては知識として持っていないと恥ずかしいのでレクチャーしました。
【フルダルとは?】
フルダルは英語で
『 full dull 』と書き、『 dull 』は「鈍い・くすんだ」という意味があります。
化学繊維はガラスのように半透明であるため糸自体に艶があります。
その艶のある糸のことを
『ブライト』といいますが、製品にした場合に艶が好ましくない場合があり、その艶を消したものを
『ダル(dull)』といいます。
ダルは、原料の中に艶消し剤を入れて艶を抑えていくものですが、その艶消し剤の量によって『セミダル(普通の艶消し)』と『フルダル(完全な艶消し)』とに区分が分かれていますが、一般的な艶消しは『セミダル』の方が多いようです。
さて、その艶消しされた糸がどうして
『透け防止』になるかですが、今シーズン流行の白色をはじめとする薄い色の生地は、衣服の内側に光が入りやすく、内部で光が反射して外へ透過する現象が起こります。
それが、透けの原因となるわけですが、特に衣服の内部にコントラストの強いものや色の濃いものを着用するとよりいっそう透けが協調されてしまいます。
透けを防止するには衣服の内部に光を通しにくくすればいいわけですので、
『フルダル』によって光の透過率を低くしたり、また別の方法では、糸に断面をつけて(異型断面の糸を使用)光を散乱させ、光を衣服の中に通しにくくする方法もあります。
若いスタッフは、その話を聞いてチョットした感動を覚えていました。
でも、今度『フルダルとは何?』と聞かれたら「古い樽」とか「フルにだるい」と言わずにちゃんとわかりやすく説明してくださいね!・・・・・・・(v^ー°)